若手が育たず、離職が続く――その原因と対策とは?
ココロ:最近、会社の若い子がまた辞めちゃって…。頑張って育ててるつもりなんだけど、なんでうまくいかないんだろう。
アキ:それ、実はすごく多くの会社で起きてる悩みなのよ。単に「若手がやる気ない」って思いがちだけど、本当は“もっと深い理由”があるの。
ソウ:人は本来やる気のある存在。でも、そのやる気が引き出される“土壌”がなければ、芽は出てこないんだよ。
「若手がすぐ辞めてしまう」
「育てても育てても定着しない」
――そんな悩みを抱える経営者の方は少なくありません。
特に
中小企業や成長途上の組織では、
次世代を担う人材の確保と育成が
急務であるにもかかわらず、
その土台がなかなか築けない
という現実があります。
しかし、
表面的な現象として
最近の
「若手のやる気がない」
「すぐに諦める」
と片付けてしまっては、
問題の本質を
見失ってしまいます。
人には本来、
やる気も行動力も内在しています。
それが発揮されていないとすれば、
必ず"構造的な原因"があるのです。
■ 原因1:「本気になる理由」が与えられていない
何のために
この会社で働くのか?
それは会社の事業を通して、
社会貢献をすることであり、
それを持続可能にするために
適正な利潤を上げることが
目的であり、
さらに
それが社員それぞれの願いと直結するときに、
この会社で仕事をする
価値と意味が生まれてきます。
自分の人生と関係のあるものにしか
本気になれません。
「この会社で働くことが、
自分にとってどんな意味があるのか」
が見えていない状態で、
尻を叩いたところで、
それは
“やらされ感”にしかならず、
内発的なモチベーションは生まれません。
自分にとっての価値と
それを手に入れる方法が
具体的に見えたとき、
つまり
“本気になる理由”が明確になったとき、
人はどんな困難も乗り越えて動き出すでしょう。
それが見えていない、
もしくは
共有されていないことこそが、
やる気が引き出されない最大の要因です。
■ 原因2:「思い込み」による自己否定感
また、
若手社員自身が
「自分なんて無理」
「この仕事は向いていない」
という思い込みを持っている
ケースも多く見られます。
これは
本人の性格の問題ではなく、
幼い頃からの記憶や
周囲の評価によって
刷り込まれた無意識の思い込みが原因です。
このような思い込みに支配された状態では、
目標を持とうとしても
“認識の不協和”が起こり、
心が不安定になります。
すると、
脳は安定を求めて
「やっぱり無理」
と自己納得するための
言い訳を探し始めてしまうのです。
このループから抜け出すには、
ただなだめすかしたり、
アドバイスをしたりするだけでは
本人の修正ポイントを
明らかにしていないため、
気晴らし程度の効果しかなく、
根本は本人の中にある
“思い込み”を自覚させ、
乗り越えさせる知識を持ち、
関わることで、
ようやく行動の原点が整っていきます
■ 原因3:社長自身の「熱」が伝わっていない
組織全体のエネルギーは、
リーダーのあり方に
大きく左右されます。
社長自身が
「この会社で何を成し遂げたいのか」
「なぜこの事業をしているのか」
という熱い想いを持ち、
そのビジョンを社員と
共有できているでしょうか?
「社員が動かない」
と嘆く前に、
まずは
自分自身が本気で動いているか
自分の使命を言語化し
発信できているかを
見つめ直す必要があります。
人は
“意味”に共鳴したときに、
はじめて本気で動き出します。
■ 対策:ビジョンの共有とメンターの導入
会社の目的は、
・適正な利潤を上げること
・それを通して社会貢献をすること
・社員の人財育成
であると考えます。
では、
具体的にどうすれば若手が育ち、
定着する組織になるのか?
その鍵は以下の2点にあります。
-
ビジョンの言語化と共有
会社の存在意義、
社長の使命、
目指す未来像
――それらを明確に言葉にして、
日常のあらゆる場面で
社員と共有することです。
そして
社員一人一人と向き合い、
その人がどんな願いをもっているのか
を把握し、
その願いをこの会社で勤めることで
どう実現できるかを掴ませる
必要があります。
-
社内にメンターを育成する
無意識の思い込みを解き、
自己否定から脱却し、
もともと持っている
可能性を開いていくためには、
信頼できるメンターの存在が不可欠です。
メンターは
その人の無意識を捉えて、
思い込みを乗り越えさせて、
成長を促していく役割です。
その知識と関り方を習得した
メンターが社内にいることは
人財を育てるうえでとても
重要になってきます。
最初は
外部メンターでカバーしつつも、
組織の上長がその役割を果たせるように
なっていけば、
その組織は社長の思いを汲んだ
管理職が要所を締めていくので、
持続可能な育つ組織が作られていきます。
専門の担当を置くよりも、
組織のリーダー、
中間管理職、
現場のリーダーなどが
このスキルを身につけることが
会社発展の大きな要素となる
のは間違いありません。
若手が育たない、
離職が続く
――これは
「人材の質」の問題ではありません。
組織としての在り方と、
リーダーとしての使命感と
その熱意の問題です。
そして、
組織立てて人財育成に取り組む仕組みを
作ることにより、
人が育つ風土が
作られていくのです。
今いる社員が、
“この会社で働けてよかった”
と心から思える環境づくりを、
今こそ始めていきませんか?
アキ:若手が育たない原因は、本人の問題じゃない。組織の構造、そしてリーダーの関わり方にヒントがあるのよ。
ココロ:「本気になる理由」をつくってあげる。自分の願いと会社の未来がつながる――そんな場所にしたいね。
ソウ:一人ひとりが「この会社で働けてよかった」と思えるように。だから、今こそ“人が育つ組織づくり”に取り組むタイミングなんだ。